サプリメント・食物繊維　スティムフローラ-Stimflora | 日記 | アトピー性皮膚炎～幼児のアトピー性皮膚炎～

　なぜ、アトピー性皮膚炎（以下、アトピーと記載します）が社会的な問題となるのか。アトピーは乳児・幼児期から中学生の年少期に最も多い疾患です。アトピーの病変は顔などの皮膚表面に出るため、それが原因で学校などでのいじめが生じてしまい、また思春期の人格形成や社会適応に影響してしまいます。また、成人期のアトピーでは同様に、結婚感や職場などでの人間関係に影響し、患者本人においては情緒不安や精神的障害となってメンタルに大きく影響します。このように考えた場合、アトピーは単なる病気の一種であると捉えるのではなく、患者を取り囲む社会の理解と支援が必要となります。そういった意味で、アトピーは一種の社会的な問題でもあるといえます。この問題の解決法は、正常な方もこの病気の理解を深めることがとても大切であると考えます。
　現在のお母さん達のほとんどが人工乳（粉ミルク）で育てられたのではないでしょうか？先の日記で、母乳で育てられた幼児にはアトピーは少なく、他方、人工乳（粉ミルク）で育てられた幼児には多くのアトピーがみられると記載しました。また、母乳で育てられた幼児の腸内細菌のほとんどがビフィズス菌という善玉菌で占められているのに対して、人工乳で育てられた幼児の腸内細菌は黄色ブドウ球菌（スタフィロコッカス菌）という悪玉菌で占められているということも記載しました。では、なぜ母乳と人工乳とでそのようなアトピーの発症の違いや腸内細菌の違いがみられるのでしょうか？
　アトピー治療の１つにビオチン治療とよばれる治療法がございます。この治療法は、欧米に先駆けて日本で開発された治療法で、高IgE血症のアトピー患者に有効であるとされています。ビオチンは、以前はビタミンＨとよばれていましたが、現在はビタミンB7と呼ばれるビタミンB群に属するビタミンの一種です。ビオチンは1935年に卵黄中から発見されたビタミンで、皮膚を作る細胞の活性化や皮膚からの老廃物を排泄促進させ、皮膚の機能を正常に保つ皮膚の健康に欠かすことのできない働きをもっています。ビオチンが欠乏しますと、湿疹や皮膚の炎症、皮膚の灰色退色や落屑が生じ、アトピー性皮膚炎の症状を呈します。また、ビオチンは、痒みの原因となるヒスタミンの産生を抑制する機能も有しています。このように、アトピーの発症原因におけるビオチンの役割が以前よりよく知られていました。
　ビオチンは通常の食材に微量含まれていますが、他の成分と結合した状態にあるため、食材から体内への吸収はほとんどないとされています。それに代わり、体内のビオチンは腸内細菌が生成したものが起源となっています。すなわち、腸内細菌によって生成されたビオチンが体内に吸収され、アトピーを発症させないように、皮膚の健康維持に寄与しているということになります。しかしながら、全ての腸内細菌がビオチンを生成するのではなく、善玉菌のみがビオチンを生成する能力を有しています。悪玉菌はむしろ善玉菌によって生成されたビオチンを自らの栄養源として取り込み、消費してしまいます。アトピー患者における血中のビオチン濃度は正常な人よりも約50%程度低下しているとの臨床報告がございます。アトピーでは悪玉菌の腸内細菌が優勢であるため、それによりビオチン生成量も低下していると考えられています。
　ところで、人工乳の粉ミルクにビオチンが添加されていないことをご存知でしょうか。粉ミルク缶に栄養成分の表示がございますので、一度ご覧になられたらよいです。これは、厚生行政がビオチンを食品添加物として認めていないために、粉ミルクに添加されていないのです。これにより、人工乳で育てられた乳児やその後の幼児はビオチン欠乏となってアトピーが発症すると考えられています。1960年代後半からアトピーなどのアレルギー性疾患がみられるようになりましたが、これは、ちょうど人工乳の登場と一致することになります。また、母乳による育児でも、母親の腸内環境が悪玉菌優位であれば、乳汁中のビオチン濃度は低下し、やはり幼児のアトピーを発症させることが判明しています。
　このように、幼児のアトピーが多い原因としては、人工乳にビオチンが添加されていないこと、母体の腸内環境が悪玉菌優位であることが上げられます。いずれに致しましても、善玉菌が優勢な腸内環境にあることが、主要なアトピー対策となります。